toraのCulture日記

クラシックコンサート、映画、読書の感想を書いています

湯浅卓夫 ✕ 新交響楽団でシベリウス:交響的幻想曲「ポヒョラの娘」&「交響曲第5番」、ヤナーチェク:狂詩曲「タラス・ブーリバ」を聴く / ブルーオーシャン

13日(月)。私は毎週月・水・金の朝に整骨院に通っていますが、その時ラジコから流れているのがTOKYO-FMの「ワン・モーニング」(ユージと吉田明世の丁々発止のやり取りが面白い)で、それが終わると9時から「ブルーオーシャン」が始まります。元NHKアナウンサーの住吉美紀さんがパーソナリティーを務めていますが、「ブルーオーシャン」て朝に相応しい爽やかなタイトルだな、と思っていました。ところが、11日付日経朝刊の記事を見てビックリしました。ある女性起業家の報告会に駆けつけた小池百合子東京都知事が「女性のアイデアでこれまでなかった分野に挑戦できる。我々はゲームチェンジャーであり、ブルーオーシャン(未開拓市場)だ」と述べた ー と書かれていました。つまり「ブルーオーシャン」とは「競合他社がほとんど存在しない、または全く存在しない新しい市場を指す」言葉だったのです。つまり「青い海のように澄んだ市場を象徴している」ということです。これに対し、「既存の競争が激しい市場」を「レッドオーシャン」と言うそうです。いかに自分が無知であるかを思い知らされました。知れば知るほど知らないことが次から次へと出てくる ー 生涯勉強とはこのことか

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昨日、東京芸術劇場コンサートホールで新交響楽団「第274回演奏会」を聴きました。プログラムは①シベリウス:交響的幻想曲「ポヒョラの娘」、②ヤナーチェク:狂詩曲「タラス・ブーリバ」、③シベリウス「交響曲第5番 変ホ長調」です。指揮は湯浅卓夫です

     

新響から指定されたのは1階P列22番、センターブロック右から3つ目です

オケは14型で 左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの新響の並び。コンミスは内田智子さんです

1曲目はシベリウス:交響的幻想曲「ポヒョラの娘」です。この曲はジャン・シベリウス(1865‐1857)が1906年に作曲、同年12月29日にサンクトペテルブルクで初演されました。「ポヒョラ」とはフィンランド神話における「北の国」のことで、大雑把に言えば、英雄がある娘に恋するが、難題を課せられ それができないため、諦めて去っていくといった物語です

冒頭から重低音による演奏が展開しますが、チェロの独奏が物凄くいい音を出していたのが印象的でした

2曲目はヤナーチェク:狂詩曲「タラス・ブーリバ」です。この曲はレオシュ・ヤナーチェク(1854-1928)がゴーゴリの歴史小説に基づき1915年から1918年にかけて作曲、1921年10月9日にブルノで初演されました。物語はウクライナのコサック軍隊長タラス・ブーリバと息子たちの戦いと死を描いています。第1楽章「アンドレイの死」、第2楽章「オスタップの死」、第3楽章「タラス・ブーリバの予言と死」の3楽章から成ります

2階正面のパイプオルガン席には石丸由佳がスタンバイします。オルガンはバロック面ではなく、モダーン面が顔を見せています。20世紀の音楽だからだろうか?

第1楽章では冒頭のイングリッシュホルン、オーボエのソロ、そして内田コンミスのヴァイオリン・ソロが冴えていました。第2楽章ではクラリネットの演奏が素晴らしく、ティンパニが躍動しました。第3楽章でもティンパニが大活躍し、ホルンの息の長い演奏が印象的でした。全体的に色彩感溢れる演奏が繰り広げられました

     

プログラム後半はシベリウス「交響曲第5番 変ホ長調」です。この曲は1914年から15年にかけて作曲、1915年12月8日にヘルシンキで初演されました。第1楽章「テンポ・モルト・モデラート ~ ラㇽガメンテ ~ アダージョ・モデラート ~ プレスト」、第2楽章「アンダンテ・モッソ、クアジ・アレグレット」、第3楽章「アレグロ・モルト ~ ミステリオーソ」の3楽章から成ります

この曲の大きな魅力は、冒頭から最後まで一つの大きな流れに貫かれていることです。その意味で、この日の新響の演奏は湯浅氏の卓越したタクトのもと、シベリウスの第5番の神髄を極めた素晴らしい演奏でした。各楽器がよく鳴り、有機的に結合し、見事なアンサンブルを実現していました

この曲で私が一番関心を持っているのは、第3楽章の最後の6つの和音をどういう間合いで演奏するかです。湯浅 ✕ 新響は私が予想していたよりも速いテンポで鳴らし、曲を閉じました。一音一音の間を取り過ぎると、聴衆がもどかしく思う恐れがあるので、あまり間を空けずに演奏したのだと思います。全体の流れの中で考えると、これはこれで納得できるものがありました

新交響楽団は作曲家・芥川也寸志が創設したアマチュア・オーケストラで、創立70周年を迎えます。数あるアマ・オケの中で実力ナンバーワンだと思います。学校の教師、サラリーマン、医師、学生、自営業・・・といった様々な職業を持った音楽好きが集まって3か月に1度演奏会を開いています。アマオケとしては極めてハードな公演スケジュールだと思いますが、演奏のレヴェルは相当高いと思います

毎回驚くのは充実したプログラムノートです。毎回楽団員が交替して執筆していますが、ここまで書くか!というほど内容が詳しく、執筆者が作品についてよく勉強した上で書いていることが伝わってきます。プロの評論家も顔負けの充実度です

次回は10月4日(日)に下のチラシの内容で演奏会が開かれます。大好きなコルンゴルト「ヴァイオリン協奏曲」を白井圭が独奏するので、聴きに行きます🐯

     

新国立劇場「オペラパレス」でドニゼッティ「愛の妙薬」(高校生のためのオペラ鑑賞教室)を観る ~ 種谷典子のアディーナにブラボー!

12日(日)。米CNNテレビは、イランがトランプ大統領の暗殺を計画しているとの情報をイスラエルが米政府に伝えたことに関し、トランプ氏は「私は長い間、彼らの(暗殺)リストに載っている。もし、私に何かが起きれば、彼らが経験したことのないようなレヴェルで爆撃するよう『指示』を残した」と述べた ー と報じました

後に残されるのはトランプのイエスマンだけだから、大規模爆撃をするかもしれないけど、指示した本人がいないんじゃ どうだろうね。それをきっかけに悪夢から目が覚めて何もしないかもしれないし・・・それに、何もトランプの命を狙っているのはイランだけじゃないからね。主権国家を侵略して国の最高責任者を殺害したうえ、世界中を混乱に貶めて計り知れない経済損失をもたらした前代未聞の帝国主義的大統領だから、敵は世界中にいるし、トランプも覚悟してると思うけどね・・・と考えたところで、気がつきました!!

トランプが「ケネディ・センター」を「ケネディ・トランプ・センター」に改称したり(結局 失敗したが)、米国建国250年記念の250ドル紙幣にトランプの肖像を印刷させようとしたり、フロリダ州の「パームビーチ空港」を「ドナルド・J・トランプ大統領国際空港」に改称したり、ノーベル平和賞が欲しいと駄々をこねたりするのは、生きているうちに「偉大な米国大統領ドナルド・トランプ」という刻印を世界中に残して死にたいと思っているからではないか

当たらずと言えども遠からず、ではないかと思うのですが、どうでしょう?  残念ながら、結果的には「嘘と脅しと暴力による政治」で世界中を混乱に貶めた史上最悪の米国大統領として歴史に名前が残るでしょう

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昨日、新国立劇場「オペラパレス」で「高校生のためのオペラ鑑賞教室:ドニゼッティ『愛の妙薬』」を観ました。新国立オペラ「愛の妙薬」本公演は5月23日(土)に観ました。「高校生のための~」公演は、この日、種谷典子がヒロインのアディーナ役で出演するのでチケットを取りました

チケットは高校生が優先のため、一般販売でやっと確保したのは4階の左バルコニー席(L3列4番)でした。オペラパレスの4階席で鑑賞するのは初めてですが、ステージが相当遠いと予想して、双眼鏡を持参しました。下の写真は自席からステージ、オーケストラ・ピット、客席を見下ろした様子です ⇒

     

本公演は全6公演のダブルキャストですが、この日の出演者は次の通りです ⇒

アディーナ=種谷典子

ネモリーノ=糸賀修平

ベルコーレ=大久保惇史

ドゥルカマーラ=田中大揮

ジャンネッタ=中畑有美

合唱=新国立劇場合唱団

管弦楽=東京フィル

指揮=現田茂夫

演出=チェーザレ・リエヴィ

     

地下鉄「初台」駅を降りた時から高校生だらけです。開演直前の場内アナウンスの間もおしゃべりが止まりません。「これからオーケストラがチューニングを行いますので、お静かにお願いします」というアナウンス(本公演ではあり得ない)でだいぶ静まります。が、指揮者が登壇し演奏が開始された後も、2階席辺りでざわついていました。ネモリーノ役の糸賀修平が登場して歌い出した辺りでやっと正常な空気に変わりました。さすがはオペラ初体験がほとんどの高校生集団です。自分も若さだけが取り柄のアホな高校時代を思い出して、懐かしい思いに駆られました。それと同時に、今の高校生はこういう「鑑賞教室」で本格的なオペラが鑑賞できるので羨ましいと思いました

     

「愛の妙薬」はガエターノ・ドニゼッティ(1797ー1848 )が1832年にミラノ・カノッピアーナ劇場で初演した全2幕から成るオペラです

純朴な農夫ネモリーノは農場主の娘アディーナに夢中になっている。軍曹のベルコーレが彼女を口説くので、ネモリーノも勇気を出して愛を告白するが全く相手にされない。そこへ偽医者のドゥルカマーラが登場し、愛の妙薬と称して安物のワインを彼に売りつける。酔っぱらったネモリーノは急に強気になるが、怒ったアディーナはベルコーレと結婚すると言い出す。ネモリーノはさらに妙薬を買うお金を得るためにベルコーレの軍隊に入隊する。彼の一途な姿に打たれたアディーナはネモリーノに愛を告白し、2人はめでたく結ばれる

     

歌手陣は総じて絶好調でした

アディーナ役の種谷典子(たねたに のりこ)は広島県出身のソプラノ。国立音楽大学・同大学院を首席で修了。新国立劇場オペラ研修所第16期修了。平成28年度文化庁新進芸術家海外研修員としてミラノとルガーノで研鑽を積む。イタリアの第24回リッカルド・ザンドナイ国際コンクールで特別賞を受賞。第16回東京音楽コンクール声楽部門第2位。第91回日本音楽コンクール声楽部門(歌曲)第2位。2021年 宮本亜門演出「魔笛」パパゲーナで二期会デビュー。22年 二期会「フィガロの結婚」スザンナで一躍注目を集める。23年には二期会「椿姫」ヴィオレッタで絶賛を浴びる。24年に「魔笛」パパゲーナで新国立劇場デビュー。25年11月 読売日響「夕鶴」つうを歌い絶賛される

役になり切った演技と、卓越したヴォイス・コントロールによるベルカント唱法で、アディーナのアリアを美しく歌い上げ、抜群の存在感を示しました。とくに第2幕終盤でアディーナがネモリーノに軍隊の入隊契約書を「お取りなさい」と語る息の長いカンタービレは、背筋が寒くなるほどの感動を覚えました これぞベルカント!!

オペラ未経験の高校生たちは種谷典子の歌と演技を どのように聴き、見たのだろうか?きっと心の底にずっしりと響いたに違いありません。彼らにとって決して忘れられない思い出になることでしょう

第2幕のロマンツァ「人知れぬ涙」を中心に リリカルな歌唱で聴衆を魅了したネモリーノ役の糸賀修平をはじめ、他の出演者も大健闘でした

特筆すべきは演出のチェーザレ・リエビが「メトロポリタン歌劇場合唱団よりもレヴェルが高い」と認める新国立劇場合唱団のパフォーマンスです

     

種谷典子は、8月25日には東京オペラシティリサイタルホールで「B to C ソプラノ・リサイタル」が予定され、2026/27シーズン「ばらの騎士」(4月上旬)にはゾフィー役で出演することが決まっています

      

下の写真は今年5月4日に東京国際フォーラム・ホールEで開かれたラ・フォル・ジュルネTOKYOの「OTTAVAスペシャルステージ」のミニライブ「愛の妙薬」でアディーナのアリアを歌った時のスナップです。この時すでに、本公演に向けて本格的な準備が進んでいたのですね

        

        

今回はステージに遠い席でしたが、聴いて良かったと思いました。4階席から見下ろすことでステージ上のオブジェの動きや、合唱団の全体の動きなどが手に取るように分かり、何よりも種谷典子の歌をライブで聴くことができたことが一番でした。新国立劇場オペラ研修所の研修生の時代から聴いているファンとして、彼女の活躍は嬉しいし、これからも精力的に新しい役柄にチャレンジして頑張ってほしいと思います。個人的な好みから言えば、ベルカント・オペラが大好きなので、ロッシーニ、ドニゼッティ、ベッリーニのヒロインを歌っていただけるとすごく嬉しいです。そしてモーツアルトも!

要求が多すぎですね。でも、歌ってほしいです!

     

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今日は東京芸術劇場コンサートホールに、新交響楽団「第274回演奏会」を聴きに行きます🐯

     

宮島明道著「刑事の境界線」を読む ~ 刑事第一課盗犯係の熱血女性刑事と組織犯罪対策課の怪しげなベテラン刑事の平行線をたどるストーリーが交差する時

11日(土)。複数の新聞報道によると、トルコを訪問していた米国のトランプ大統領(80)は8日、「『日本イスラム共和国』が111発のミサイルを発射し米空母エイブラハム・リンカーンを攻撃した」と言い間違えたが、『イラン・イスラム共和国』と言いたかったとみられている、としています

「カナダはアメリカの51番目の州になる」と主張したり、デンマークが保有する「グリーンランド」を「アメリカが所有する必要がある」と執拗に繰り返す「主権国家の概念無視」のトランプのことだから、何を言おうが今さら驚かないが、はっきり言って金魚すくいの 逃げ足の速い金魚だな・・・救いようがない

一方、米メディアによると、米南部フロリダ州のパームビーチ国際空港の名称が9日、「ドナルド・J・トランプ大統領空港」に変更された。米国の空港に現職大統領の名前が使われるのは初めて。共和党が多数派のフロリダ州議会で名称変更に関する法案が2月に可決され、3月に成立した。名称変更の費用は約550万ドル(約9億円)に上る見込み ー とのこと

トランプ一族が空港の「命名権」をお金で取得したのなら550万ドルはトランプ一族が払うのが当然のこと。そうでないなら共和党と結託したトランプの「職権の乱用」。そうだとすると トランプの職権の乱用は これで何回目?  トランプ・カード1セットは52枚だから52回やるつもりか?  しかし、これにはジョーカーが含まれていない。トランプは何回でも権力を乱用するからジョーカーだという説も考えられるが、ジョークにとどめてほしい

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昨日、夕食に「ビーフカレー」と「生野菜とモッツアレラチーズのサラダ」を作りました。牛肉は国産牛の切り落としを使いましたが、柔らかくて美味しかったです

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宮島明道著「刑事の境界線」(宝島社文庫)を読み終わりました。宮島明道は1980年 東京都生まれ。立川市在住。16歳から DJ を始め、DJの大会 DMC では2002年と2007年の2度日本チャンピオンに輝く。2003年から DJ 教室「宮島塾」を経営する。本書「刑事の境界線」で第24回「このミステリーがすごい!大賞」文庫グランプリを受賞し、デビュー

     

「刑事になって3年目の、小金井中央警察署の刑事第一課盗犯係の馬場みどりは、取調室でぐだぐだと言い訳をするスリ犯・矢野に対峙していた。やがて、管轄内のゲームセンター「スピナ」で金庫荒らしが発生、馬場は上司の平野とともに現場に直行する。さらに、管内で起こった連続車上荒らしを追っていく過程で、10代の少女2人が職務質問を拒否して車の中に立てこもる事件が発生、馬場が2人を説得して署に連行して事情を聞くことになる。一方、5年前まで警視庁の組織犯罪対策課に在籍し、現在は小金井中央警察署の組対に勤務する40歳のベテラン刑事・為井忠之は、ガサ入れのため後輩の佐竹と共に違法エステ店を張り込んでいた。しかし、為井は とある事情から店長のホセを逃がそうと画策し、事前にガサ入れ情報をホセに流していた。現場に踏み込むと、そこに居たのは3人の大学生だった。彼らがホセとつながりがあることを知った為井は、次第に追い詰められていく」

普通であれば、熱血漢の若手女性刑事・馬場と何やら怪しげな過去を持つベテラン刑事・為井が組んで複雑な難事件を解決する警察官師弟物語か、と思われますが、この2人は終盤まで全く接点がないまま、同時並行してストーリーが展開していきます

車上荒らしを理不尽に”やらされていた”2人の少女を「絶対に救う!」と決意する馬場の熱血漢ぶりに微笑ましさを感じる一方、犯罪者に情報を流し捜査の邪魔をしながらも、まともな刑事に戻りたいという願望を抱き、加害者である大学生たちの将来を見据えて彼らを救おうと手を打つ為井には、少なからず同情を覚えます

登場人物が多く、かなりストーリーが入り組んでいますが、物語がテンポよく展開するので、読み易い小説です。これがデビュー作とは思えないほどの力量を感じます

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7月5日(日)から11日(土)までの7日間、連続して読書感想を書いてきました。さながら「My 読書週間」のようでした。今日から再びコンサートを再開します。今日は新国立劇場「オペラパレス」でドニゼッティ「愛の妙薬」(高校生のためのオペラ鑑賞教室)を観に行きます。新国立オペラ「愛の妙薬」は5月23日に観ましたが、今日の公演には種谷典子がアディーナ役で出演するので、チケットを取っています🐯

     

  

中山七里著「こちら空港警察」を読む ~ 航空機内と管制塔での同時人質立てこもり事件に成田空港警察・仁志村署長はどう対処するか? :「どんでん返しの帝王」健在!

10日(金)。昨日は室内の気温が30度を超えたので、夕方から今夏初めてリビングのクーラーを点けました。とは言え、来週月曜日には新しいクーラーと交換するので、あと3,4日でお役御免になります。東京は まだ梅雨明け宣言出てませんよね?

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新国立劇場の「クラブ・ジ・アトレ」から「ポイントアップサービス」の案内が届きました。ポイントに応じて様々なサービスが受けられるシステムです。私のポイントは650です。例年通り①「オペラ/演劇プログラム引換券(@100ポイント✕6枚)と②ブッフェ&ショッ共通クーポン(@50ポイント✕1枚)の組み合わせで申し込んでおきました。このほか、応募自由の「抽選アイテム」については当選者数が多く(30人)あまりポピュラーでないオペラのゲネプロ(2027年6月27日・14時からの「マクベス」)に応募しておきました。当たるといいな

     

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昨日、夕食に「豚しゃぶ」「生野菜とモッツアレラチーズのサラダ」「ほうれん草の味噌汁」を作りました。豚しゃぶは今季初でした。これから増えるでしょう

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中山七里著「こちら空港警察」(角川文庫)を読み終わりました。中山七里は1961年、岐阜県生まれ。「さよならドビュッシー」で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。「連続殺人鬼カエル男」「御子柴弁護士」「刑事犬養隼人」「ヒポクラテス」「作家刑事毒島」各シリーズなど多数

     

成田空港警察は、民事不介入を建前に、客とのトラブルに関わろうとしないことから、空港職員たちの間では役立たず組織と見做されていた。新署長に着任した仁志村賢作は、その長に相応しく頼りにならないと目されていた。しかし、覚せい剤の運び屋の一斉摘発を契機に、誰もが予期しない手腕と強引さで隠れた犯罪者を次々とあぶり出していく。実は、仁志村は千葉県警本部長時代には「人嫌いで酷薄で唯我独尊」の性格から「鬼村」と恐れられていた。「機内に爆弾を仕掛けた。成田へ引き返せ」という男の脅迫からATB(エアーターンバック)をせざるを得なくなる事件、航空機内と管制塔での同時人質立てこもり事件を、仁志村は冷静な判断力と俊敏な行動力で解決していく

【以下ネタバレ注意】

第4話「エマージェンシー・ランディング」で、「フライトして30分後に乗客の一人が刃物でキャビン・アテンダントを人質に取る」という事件が起こりますが、チェックイン時の手荷物検査ではCTスキャンで中身を透視していて、金属や刃物状のものは全てチェックされているはずなので、機内に持ち込みは不可能ではないか、と思いました。しかし、仁志村は画像分析からその真相を解明します ⇒

「現在、通常の木材の強度の23倍近く増加させる加工方法がある。開発したのはメリーランド大学の研究チームですが、既に木製のナイフは実用化されている。これが20センチ四方の木版に絵画のように組み込まれていた」

これは初めて知りました。これが悪意のある人物に悪用されては困るな、と思いました

第4話の続きというべき第5話「テロリズム」では、航空機内でのハイジャックと、管制塔での人質事件が同時に起こり、「要求を吞まなければ航空機を管制塔に突っ込ませる」という主張は自爆テロそのものですが、仁志村が考えた作戦と行動は「目には目を歯には歯を」というもので、犯罪者の家族を巻き込んだ容赦ないやり方だな、と思っていると、そこは中山七里、どんでん返しが待っています

犯人グループは、過去の成田闘争の尾を引く影の人物から、「成田空港開港にあたり土地を収用された恨みを晴らすため」とそそのかされてテロ行為を実行したわけですが、結局、影の人物に操られて成田空港を破壊し、それによって関連株が暴落し、影の人物が莫大な利益を手にするという真相が明らかになります

いつものように、中山七里のストーリー運びは鮮やかです🐯

  

「万年筆の時代 ~ 佐藤正午 復刻短編集」を読む ~ 1983年の作家デビューから10年間にわたり万年筆で小説を書いていた初期の短編集

9日(木)。昨日、夕食に「真鯛のアクアパッツァ」と「生野菜とモッツアレラチーズのサラダ」を作りました。アクアパッツァは久しぶりに作りましたが、美味しく出来ました

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「万年筆の時代 ~ 佐藤正午  復刻短編集」(光文社文庫)を読み終わりました。佐藤正午は1955年長崎県生まれ。1983年「永遠の1/2」で第7回すばる文学賞を受賞しデビュー。2015年「鳩の撃退法」で第6回山田風太郎賞を受賞、25年「月の満ち欠け」で第157回直木賞を受賞。著書に「Y」「ジャンプ」「アンダーリポート」「身の上話」「彼女について知ることのすべて」など多数

     

「あとがき」によると、佐藤正午は1983年「永遠の1/2」で第7回すばる文学賞を受賞しデビューした頃から約10年間、原稿を万年筆で執筆していました。その後、1993年頃の「彼女について知ることのすべて」からワープロで書くようになり、さらに2006年の「身の上話」執筆の途中からパソコンに乗り換えて書くようになったとしています

本書に収録されているのは、万年筆で書いていた作家生活最初期に書かれた9編の短編小説に加筆修正を加えた作品と、ワープロ移行後に書かれた1編です。言わば佐藤正午の原点と言うべき若き日の短編集です

収録作品は以下の通りです ⇒

①ジョン・レノンが撃たれた日

②ルームメイト

③糸切歯

④いつもの朝に

⑤コンドーム騒動

⑥震える女

⑦卵酒の作り方

⑧スペインの雨

⑨青い傘(デビュー後、プロとして初めて原稿料を貰って書いた作品)

⑩ニラタマ A、ニラタマ B

若き日の作品をまとめて読んでみると、初期の頃からシニカルな見方や独特の言い回し(ちょっと執拗な書き方)は健在だったんだな、と思います

収録作品の中では「スペインの雨」が印象的です。すでに読んだことのある作品ですが、2度の映画化のチャンスがありながら、幻に終わった小説です。内容は「テレクラ通いをする27歳の青年が、ある日、一人の人妻と出会いベッドを共にする。再会を焦がれ、彼女からの電話を待ち続けるが・・・」というストーリーです。タイトルの「スペインの雨」は、人妻が青年と会う時の合言葉として提案したものです。2人の会話によると、これはオードリー・ヘップバーン主演の「マイ・フェア・レディ」で、ヒギンズ教授がイライザに「スペインの雨は、どこに降る?」と訊ねると、イライザは「平野に。おもに平野に」と答える、というものです。なぜヒギンズ先生はイライザにこの台詞を繰り返し言わせるのかと言えば、イライザには母音の「ei」を「ai」と発音する独特の訛りがあるので、その訛りを矯正させるために同じ台詞を繰り返させるのです

The rain in Spain stays mainly in the plain

イライザは「stays」を「ステイズ」ではなく「スタイズ」と読んでいたのでしょう。また、「stay」は「留まる」でしょうが、雨が平野に留まるというのは、雨が平野に降るのと同じだということでしょう

まだ「マイ・フェア・レディ」を観たことがないので、チャンスがあれば是非自分の目で観て 確かめたいと思います。Netflixで配信してくれないかなぁ🐯

  

林真理子著「80代になるとたいていボケるか死ぬ。70代は神様から与えられた特別な時間」を読む ~ 72歳の著者が健康、仕事、おしゃれ、お金、人間関係などについて語る人生論

8日(水)。林真理子著「80代になるとたいていボケるか死ぬ。70代は神様から与えられた特別な時間」(幻冬舎新書)を読み終わりました。林真理子は1954年、山梨県生まれ。エッセイ集「ルンルンを買っておうちに帰ろう」がベストセラーとなる。1986年「最終便に間に合えば」「京都まで」で直木賞、95年「白蓮れんれん」で柴田錬三郎賞、98年「みんなの秘密」で吉川英治文学賞を受賞するなど受賞多数。22年には日本大学理事長に就任

     

著者は「はじめに」で次のように書いています ⇒

「70代になったら、今までと同じことをしていてはいけない。注意深く、何かと決別しつつ新たなステージに向かわなくてはいけないのである。私はまわりの人たち(有名人も多くいた)を見ていて、ひとつの真実を得た。80代になると、たいていボケるか死ぬ。ごくまれに、背筋もぴしっと伸びて頭もカラダもフル回転という方もいるが、あれは全くのレアケース。私らふつうの人間は、老いと直面しなくてはならない。それならばきちんと直面しようと、この本を書くことを思いいたった。そうはいっても、ネガティブなことばかりではあまりに悲しい。くよくよしていてはダメ。70代、頭もカラダもまだ大丈夫。それなりに蓄えも出来ている。神様から与えられた特別な時間。注意深く、楽しんで生きる」

そのためにどうしたら良いか、著者は次の5章に分けてアドヴァイスを書いています ⇒

第1章:まずは健康第一

第2章:「イタい」アイテムに気をつける

第3章:人付き合いは楽しく、無理せず

第4章:貯金を切り崩すにはまだ早い

第5章:私たちには時間がない

第1章では次のようなアドヴァイスが語られています ⇒

〇世間が変わったのではない。自分が老いたということを知るべし

 ⇒先日、薬局で転んで骨盤を痛めたので身に染みて感じておりますです、はい

〇急がない、焦らない

 ⇒  WALK DONT RUN (ベンチャーズ)ですね

〇定期健診をスルーしてはいけない

 ⇒ 一般検診、ガン検診は毎年受診しています

〇健康のためだけに歩いてはいけない

 ⇒ コンサートがある日は何故か7000歩は歩いています

〇寝る前にスマホを見てはいけない

   ⇒ 目が冴えて眠れなくなりますね。難しい本を読んでいると眠くなります

〇健康自慢、過剰なお節介をしてはいけない

 ⇒ 同年代が集まると、逆に病気自慢が始まります。同病相憐れむですね

第2章では次のようなアドヴァイスが語られています ⇒

〇ファストファッションをよそゆいきに着てはいけない

 ⇒ よそに行くのはコンサートか映画館ですが、いつもユニクロです。別に人に会うわけではないのでまあいいか、という感じです

〇アイロンを忘れてはいけない

 ⇒ 毎週日曜日には5~6枚のシャツにアイロンをかけています

〇通販で下着を買ってはいけない

 ⇒ サイズ違いなどは「はかない一生」ならぬ「履かない一生」になるそうです

〇シニア雑誌だけを読んではいけない

 ⇒ 通販月刊誌「はるめく」が女性誌売り上げナンバーワンだそうですが、本書では、もっと若い世代をターゲットにした月刊誌を挙げています

第3章では次のようなアドヴァイスが語られています ⇒

〇友人は10歳下を選ぶ。同じ年代とばかりつるまない

 ⇒ よく分かるのですが、そもそも人に会う機会が極めて少ないので、年代を選ぶ手前で足踏みしている状態です

〇笑えない自慢話をしてはいけない

 ⇒ シニア世代あるあるですね。しかも同じことの繰り返しが多い

〇若い人に何かを残そうなどと考えてはいけない

 ⇒ 要するに「先輩ずらをするな」ということでしょうか

〇人生を愉しまずに逝ってはいけない

 ⇒ その通り!いつぶっ倒れてもいいように、毎日 コンサート通いか映画鑑賞か読書かのいずれかをやっています

〇クレームは明るく言わなくてはいけない

 ⇒ これはすごく大事なことです。怒って文句を言うと相手は不快に思い反発します。買い物の場合は、下手をするとカスタマーハラスメントになります。時々コンサート会場にもいますね。アテンダントをつかまえて大きな声で何やらクレームを浴びせている高齢のおっさんが。みっともないです

第4章では次のようなアドヴァイスが語られています ⇒

〇子供に財産を残そうと思ってはいけない

 ⇒ 「子どもに教育をきちんと受けさせ、社会の一員にしてやったら、それで私たちは120点もらえる」というのが著者の考えです。その通りかもしれません

〇有り金をうまく使い切れるわけがない

 ⇒ 筒井康隆著「敵」を思い出します。主人公の高齢男性は、通帳残高を使い切って死ぬことを目標に暮らしています。しかし実際には思い通りにはいかないものでしょうね

〇新聞代をケチってはいけない

 ⇒ 70代で新聞を定期購読していないというのは、私から見ると非常識です。20代や30代の若者ではあるまいし。私は現役時代か全国紙2紙を購読しています

〇貯金はまだ切り崩してはいけない

 ⇒ これは前述の「人生を愉しまずに逝ってはいけない」と矛盾しますね。年金収入が生活費になるのであれば、人生を愉しむには貯金を下ろすかしかないでしょう。要は後で後悔しないようにすれば良いということでしょう

第5章では次のようなアドヴァイスが語られています ⇒

〇葬儀はパスしてはいけない

 ⇒ これは70代に限らず、すべての年代に共通していますね

〇老いに逆らうのではない。小さな努力の成果を楽しむ

 ⇒ できることをやってみて楽しむのが大切なようです

〇あっという間にまわりがいなくなることは想定すること

 ⇒ 不幸なことは連続して起こる、とはよく言われることですね。覚悟しておくことが大切です

〇「私はどういう目的で今、出かけようとしているのか」口に出して問うてみる

 ⇒ これが私にとって一番、肝に銘じるべきアドヴァイスです。時々、コンサート会場を間違えて 電車の中で気が付き、慌ててヤフーの「路線情報」で本来行くべきホールの最寄り駅までの最短時間コースを調べることがあります。これからは「私はどういう目的で今、出かけようとしているのか」口に出して問うことにします

さて、著者の一連のアドヴァイスから窺えることは、「70代では、これまでと同じことをしないで、出来ないことは諦め、楽しいことを大事にし、人生の新しいステージに立とう」というメッセージです

本書は著者の実際の経験から得た”70代が生きていく上での知恵”を集大成したものです。著者が女性であることから、特に女性にとって参考になることが多く語られています。しかし、男性にとっても実際に役立つことが少なくありません。70代のシニアを中心にお薦めします🐯

  

三牧聖子編「アメリカの戦争と世界危機 ~ イラン侵攻は何をもたらすのか」を読む:アメリカ、イラン、イスラエル、中国、資源問題、経済、安全保障など / FIFAワールドカップ ⇒ トランプにレッドカードを!

7日(火)。共同通信によると、「米当局者は5日、トランプ米大統領が1日に国際サッカー連盟(FIFA)のインファンティノ会長に電話し、ワールドカップ米国代表でFWのバログンのレッドカードによる出場停止処分を見直すよう求めたのに対し、FIFAは1年間の執行猶予を付けると発表した。このため、バログンは6日(日本時間7日)のベルギーとの決勝トーナメント2回戦に出場可能となった。これを受けてトランプ氏は『正しい判断を下し、大きな不正を是正したFIFAに感謝する』とSNSに投稿した」とのこと。

何だこの茶番劇は!  トランプのひと言で国際試合のルールがアメリカに有利になるように捻じ曲げられて試合が続けられるというのか!? トランプなら何をやってもいいのか? 私利私欲を国レベルに拡大して国際大会を台無しにして平然としているのか? 「正しい判断を下し、大きな不正を是正したFIFAに感謝する」だって? バカも休み休み言え!「誤った判断を下し、大きな不正を行ったFIFAをトランプともども非難する」というのが世界のサッカー界の一致する見解だろう。トランプとインファンティこそレッドカードだ!これで、米国とFIFAは 世界のサッカー界を敵に回したことを思い知るべきだ。ベルギー・サッカー協会は「決定に驚愕している」とコメントしているが、「怒りを通り越して呆れ果てている」のが本音ではないか。さてどういう対応を取るか?

百歩譲って少しでも公平を期すなら、これからの試合でレッドカードを受けた選手は、例外なく1年間の執行猶予を付けなければおかしいことになる。FIFAはどうするのか、レッドカードに注目しよう!

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昨日、夕食に隔週月曜日のローテにより「鶏のガーリックチーズ煮、スパゲッティ添え」を作りました。今回も鶏肉が柔らかくて美味しくできました

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三牧聖子編「アメリカの戦争と世界危機 ~ イラン侵攻は何をもたらすのか」(岩波新書)を読み終わりました。編者の三牧聖子は1981年生まれ。東京大学教養学部卒、同大学院総合文化研究科博士課程修了。同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授。専門はアメリカ政治外交、国際関係論。著書に「Z世代のアメリカ」など。テレビの情報番組のコメンテーターとして出演

     

本書はアメリカとイスラエルによるイラン攻撃の背景と実態について、各分野の第一人者が、終わりのない惨禍と複雑に絡み合う歴史構造を分析し、現代の危機の実像に迫ったタイムリーな書籍です

本書は次の各章から構成されています ⇒

序 章:「危機」を直視するために(三牧聖子)

第1章:イラン戦争とアメリカ(同)

第2章:イスラエル ー 「イランの脅威」に取り憑りつかれた国家(鈴木啓之)

第3章:中東におけるイラン(板梨祥)

第4章:イランは宗教国家か ー イスラーム共和体制のゆくえ(黒田賢治)

第5章:トランプの論理 ー 神の名をめぐる論争(加藤善之)

第6章:覇権国家不在の世界経済のゆくえ ー 1930年代型の混乱が続くのか(河野龍太郎)

第7章:中国の原則と行動 ー ウクライナ戦争とイラン戦争における中国外交(山口信治)

第8章:ホルムズ海峡危機と「資源小国」日本(白鳥潤一郎)

第9章:高市政権の外交と日本の選択(山本章子)

第10章:グローバルサウスの多国間主義  ー アラカルトから規範的連帯へ(根岸陽太)

第11章:逆流する『対テロ戦争』 ー 指導者殺害作戦について(西平等)

第12章「軍拡は AI からはじまる(内田聖子)

三牧聖子は第1章で「イラン戦争は、アメリカの国益のために行われた戦争でも、アメリカ市民の広範な支持に支えられた戦争でもなく、ほぼトランプの一存で断行された「トランプの戦争」であったと断定します。そして、「2026年に入ってから加速する一連の軍事行動が示すのは、国際法や国際機関を尊重するという姿勢を欠如させた大国の恣意に、平和を任せることの愚かさだ。トランプは、『平和』や『非介入』に国営があると見れば、そうする。しかし、ひとたび『戦争』や『介入』に国益があると見れば、そうするのだ。『平和の大統領』という約束はベネズエラやイランへの侵攻によって初めて裏切られたわけではなく、当初からまやかしであったと言うべきだろう」と喝破します。さらに、「戦争が始まってからの世論調査で、『イラン戦争からより多くの利益を得るのは、アメリカか、イスラエルか』を問うと、『イスラエル』と回答する人の方が多く、『これはアメリカの戦争ではなく、イスラエルのための戦争だ』という不満が高まっていった。イラン戦争の果てにトランプは、『アメリカを偉大に』『アメリカ第一』というスローガンとは裏腹に、イスラエルに引きずられて利益も目的もわからないイラン戦争に突き進み、米兵を犠牲にし、アメリカ市民の税金を浪費した『衰退の大統領』として後世に記憶されることになるかもしれない」と述べています

まったくその通りです。かつてこれほど自己愛が強く、独断的で私利私欲に満ちた大統領がアメリカにいただろうか?

第2章では鈴木啓之氏(東大中東地域研究センター特任准教授)が、開戦の決定に閣僚の誰よりも大きな影響を与えたのがイスラエルのネタニヤフ首相だったと指摘します。そして、「ガザ地区のハマース、レバノンのヒズブッラー、イエメンのフーシ派、イラクのシーア派民兵、シリアの民兵集団、西岸地区の武装勢力がイスラエルに敵対し、その背後にイランが控えているという認識のもと、ネタニヤフ政権はイランに対し より踏み込んだ行動を取るようになった」と指摘しています

こうしてみると、イスラエルには敵が多すぎます。ネタニヤフは収賄罪で告発されているので、国民の関心がそちらに向かわないようにするため、戦争が止められないのです

第5章では立教大学文学部教授・加藤善之氏が、「2024年の選挙期間中から、トランプ陣営は明らかにキリスト教を重視してきた。アメリカを再び偉大な国にするのに必要なのは、宗教であり、とりわけキリスト教だと、トランプ自身も『トランプ聖書』をプロモーションするビデオの中で語っている。また、トランプが自らの宗教助言者を務めてきたポーラ・ホワイトをはじめとする福音派の指導者たちを重宝し、指導者たちもその期待に応えてきたのも事実だ。2月7日に大統領令によりホワイトハウス内に『信仰局』が設置されると、上級顧問としてポーラ・ホワイトが任命された。彼らはイラン戦争において、戦争を正当化した。トランプ政権は、キリスト教の象徴や言説をふんだんに利用することで、自らの政治的な立場を守り、他国への攻撃を正当化してきた」と述べています

また、2026年4月5日のローマのサン・ピエトロ広場における復活祭の説教で、教皇レオ14世が「キリストが復活されたその力は、まったく非暴力な力です。武器を持つ人は、それを置いてください。戦争を起こす力を持つ人は、平和を選んでください。力で追及する平和でなく、対話による平和を」と述べたのを紹介し、「批判の矛先は、トランプ陣営だけではないだろう。ウクライナにおいても、パレスチナにおいても戦争は終わっていないからだ」としています

それでも、アメリカ出身のレオ14世が念頭に置いて批判したのは、アメリカのトランプ政権だったのは間違いないでしょう。トランプは教皇を批判しているし

第7章では山口信治氏(防衛研究所地域研究部中国研究室主任研究官)が、「総じて言えば、中国は頻発する現代の戦争において、公正な中立者としての理念的立場をアピールしつつも、その外交の実態は実利主義に基づいている。ウクライナとイランという2つの異なる危機において示された態度の違いは、中国外交が常にアメリカとの戦略的競争を最優先課題として位置づけ、その枠組みの中で当事国の戦略的価値を算盤高く見極めていることの証左に他ならない」としています

国土が広く人口が多いことで「大国」を標榜する中国のしたたかさを感じます

ここにご紹介した章の他にも「目次」にあるように、現代の世界の動向を考える上で興味深いテーマが取り上げられています。まさに今読むべき書籍としてお薦めします🐯